無題
難しいことは何も考えたくなかった。例えば生きる意味や理由、存在価値。それでも私は考えてしまう。私には何もなかった。特技も趣味も、浮いた話も刺激的な一日も。何も無い。ただ毎日をやりこなすだけの日々。
私はひどく退屈していた。けれどやりたいことなど何もなかった。友人たちはみんな充実した生活を送っているようで、それは心底羨ましかったが、どうにも私もやってみようという気にはなれなかった。
私は昔から、性に合わないと諦めるのが早い。何か一つを懸命に続けることが苦手だった。何でもかじってみては途中でやめてしまう。そんなことだから、私には何も無かった。
このまま退屈な毎日を浪費していくのかと思うと恐くなる。何かしなければ、何かを得なければ、そんな焦りに掻き立てられた。
それでも私は、動けない。
私は退屈に、すっかり慣れてしまったのかも知れなかった。